小島直記【洋上の点　情報戦略家森恪の半生】(中公文庫) 日露戦争、辛亥革命、三井物産

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●			洋上の点: 情報戦略家森恪の半生 (中公文庫 A 154-3) 文庫 1982/11/10

●			小島直記 (著)

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●			396ページ

●			中央公論

●			発売日

●			1982/11/10初版

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●			アマゾンの書評より

●			5つ星のうち4.0 半生でいいのか？

●			これは明治から大正にかけて三井物産社員として活躍した森恪（もり・つとむ、かく）とその上司である山本条太郎を中心に、物産に関わった人々を小説化したものである。三井物産は現在でも大学生に人気のある会社だが、その成り立ちは政府ぐるみのバックアップを受けた国策企業であった。だから私益追求の私企業というワクをこえた義務感と使命感を社員に意識させ、日露戦争時上海支店長山本の命令によりロシアのバルチック艦隊の進路を探るために、若き森は小さなヨットを駆使して航跡発見につとめ、１週間後東シナ海洋上にて発見、これを尾行して上海に打電し続けたのだった。

●			その後森は中国大陸において山本とともに辛亥革命と深く関わりをもつようになる。物産は革命に積極的に関係しており、孫文や袁世凱との駆け引きは読んでいて面白い。「対華２１か条の要求」も袁世凱が日本に亡命した革命派の取り締まり要求との引き換えという意味があったことなども書かれてある。

●			森も山本も物産を退社して政界に進出して活躍するのだが、本書は政界に舞台を移してからの彼らを描かず政界入りしたところで終わっている。積極的に軍部と接触して人から森が「デモクラシーをファシズムに売った」とまで揶揄されたことを遠慮したのか？　しかし今ではその頃の事情も雰囲気も残されたものが少ないので、森の半生ではなく一生を書いておいてもよかったと思う。

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