■ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)のアルバム『Destination... Out!』は、1964年にリリースされたモダンジャズの名作で、マクリーンの独自の音楽的探求が存分に発揮された作品です。アルトサックス奏者として知られるマクリーンは、ハードバップからアヴァンギャルドな方向へと進化していく過程で、このアルバムを通してより冒険的な音楽を展開しました。 『Destination... Out!』は、従来のハードバップの枠を超え、よりフリーで革新的なサウンドを追求している点が特徴です。アルバム全体を通して、複雑なリズムやハーモニー、独特なメロディーラインが展開され、当時のジャズの先端を行く作品となっています。それでも、マクリーンの演奏は常に感情豊かであり、聴き手を引き込む力を持っています。
アルバムのバックを支えるメンバーも非常に優秀で、トロンボーンにはグレイチャー・モンカー3世(Grachan Moncur III)、ベースにはラリー・リドリー(Larry Ridley)、ドラムにはロイ・ヘインズ(Roy Haynes)が参加しています。モンカーの作曲による「Love and Hate」や「Esoteric」などの楽曲は、斬新なハーモニーとリズム構造を持ち、ジャズの新しい方向性を示唆しています。
「Love and Hate」では、ゆったりとしたテンポの中で、マクリーンとモンカーの掛け合いが際立ち、感情的で深みのあるサウンドが広がります。また、「Esoteric」では、よりフリーな演奏が展開され、各ミュージシャンの即興性が光るスリリングな一曲となっています。
『Destination... Out!』は、ジャッキー・マクリーンのクリエイティブな側面が最もよく表れたアルバムであり、従来のハードバップを超えた前衛的なジャズに興味がある方には特におすすめです。この作品を通じて、マクリーンの音楽的進化と深い表現力を堪能することができるでしょう。