昭和46年　168p

自序
四月十日
「寺の瓦」は木下、山内、志賀が三月廿六日からの半月間の旅行記 である。
それは他人へ見せるよりは自分等の思ひ出の種にしようといふのが 主である。だから文章でも字でも随分暴だ。他人には讀めない程 亂暴で、又マダイ。然しそこが吾々にとって又面白いので、(面白い かどうか知らぬが面白いとするのだ) 疲勞しきって、宿屋へつく、 何をす
ヤだ。其ウンザリしてる中で筆ま してる中で筆まかせにダラと
其日の事を書 書く。いゝ文の出来る筈はない。その文のヘマな所に旅 のツカレ、氣のオトロへが、現はれてゐて、面白い。 木ノの所謂 「千金丹の味」はそこに るのだ。

外箱小傷、小汚れ。もちろん読む分には問題ありません。

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