2003年 156ページ

ごあいさつ
香合は香を入れる合子、すなわち蓋付の器をいいま す。 茶道具として用いられてきたこの掌に収まるほど の小さな器は、形状や意匠に趣向を凝らしたものも多 く、道具としての用を超え愛玩の対象として、 人々の 目を楽しませてきました。
1976年、 カナダで最も古い美術館のモントリオール 美術館で、 3000点に及ぶ香合が収蔵庫に眠っているの が発見されました。 これは、日本の香合に魅了された フランスの元首相ジョルジュ・クレマンソー (1841- 1929) によって19世紀末に収集され、長い間その所在が 不明となっていたものでした。
江戸末期の文化、文政、 天保の頃の国焼が多いこの コレクションは、 京焼、 楽焼 染付を主体とし、 桃山 時代の織部、志野なども少なからず含まれています。 香合だけでこれほどの点数と豊富な種類を誇るコレク ションは、他に類がありません。
今回の展覧会は、クレマンソーが収集した香合の中 から600点近くを選出し紹介するものです。 フランスか ら海を渡り、 カナダのモントリオール美術館に収蔵さ れることになったこれらの香合が、 出生の地である日 本で一堂に展覧される貴重な機会となります。 日本各 地の窯から生まれたやきものを江戸期を中心に概観す る本展を通して、 小さな香合に凝縮された日本文化の 妙を堪能いただければ幸いです。
開催にあたり、貴重な所蔵品を快くご出品下さいま したモントリオール美術館をはじめ、 多大なご協力を 頂きました関係各位に心より感謝申し上げます。
主催者

表紙小傷、小汚れ。もちろん読む分には問題ありません。

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。