2020年　0.8㎝程度

はじめに
武蔵野美術大学 美術館・図書館では2019年5月20日から6月16日 まで、「内田あぐり化身、あるいは残丘」展を開催いたしました。 本書は、本展の会場写真と会期中に実施した2つのイベントを記録し たものです。
本展は、 水沢勉氏 (神奈川県立近代美術館 館長) にご協力を賜り、 内田あぐりの画業を回顧的に構成するのではなく、 作家の現在を感じ させ、なおかつ今後の創作活動を予感させるような展示を目指しまし た。 3つの展示空間すべてにおいて、 初期にあたる1970年代から80 年代の具象作と1990年代以降の大型作品とが対峙するなかで、 人間 の本質をめぐる内田の表現を見せたことが大きな特徴になっていま す。 なかでも、 1972年制作の小品 《自画像》 と約8メートルにも及ぶ 新作《残丘ーあくがれ》 たった2点だけが展示されたアトリウム2で は、これまで一貫して人間を描いてきた内田の絵画表現の本質が満ち、 そして一つの絵画空間として結実した姿を見せました。 本書は会場記 録として、 写真家の山本糾氏による撮り下ろし写真を掲載しました。 関連イベントでは、講演会「残丘をめぐる。」 と作家によるギャラ リートークを実施しました。 講演会では、 本展の成り立ちや内田作品 にとって特別な位置を占めるドローイングについて、さらに新作をめ ぐる内田作品の制作プロセスまで、 2人の登壇者が作家の核心部分に 迫りました。 ギャラリートークでは展示の流れに沿って、 本展のコン セプトや出品作品について作家自身によって語られ、 内田作品の変遷 をたどりながら、その本質に触れる内容となりました。
本記録集が、 内田あぐりの切り拓いてきた現代日本画を再考する契 機になることを願っています。 最後になりましたが、 記録集の編集に あたり惜しみないご協力を賜りました関係者の方々に、心より御礼を 申し上げます。
2020年3月
武蔵野美術大学 美術館・図書館

表紙小傷。もちろん読む分には問題ありません。

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。