昭和35年216P

人間の歴史がはじまってから、二十世紀の現在にいたるまでの服飾史のなかで、かぶり 物の歴史を述べようとすると、問題の取り上げ方によって、その方法が非常にちがってき ます。
かぶり物を衣服の従属的なものとして考え、服飾史の時代区分によって、いつの時代に は、どんなかぶり物があったかを順序よく羅列して書いていけば、比較的容易にこれを記 述することができるかも知れません。
しかし、かぶり物は各地方、各民族によってそれぞれ独自のものが発生していること、 また、それらのかぶり物の発生とそれらが用いられた時代とがかならずしも一致していな いことなどの理由から、そうした方法では、それらのかぶり物の発生なり変遷の動機や理 由を解明するには不十分になってきます。
一国の服飾は、その国の風土、気候、国民性、時勢、精神文化、生活様式、美術工芸な どのすべてのことが総合されて、それを醸成し、醇化しているものなのです。
したがって、小さな帽子の輪郭に現われる直線や曲線、その色調、デザインの一端を見 ても、ここに深い意味がふくまれております。

表紙傷、小汚れ、表紙やややけ。裏表紙に値札はがし跡あり。ページ小黄ばみ。昭和37年ですので全体的に経年感はあります。ご理解の上、ご購入ください。もちろん読む分には問題ありません。