日本史籍協会叢書　藩制一覧・2冊　昭和42年　430P　昭和3年の復刻版

明治初年，太政官が各藩に対して藩の草高・税目・税額・人口・戸数・社寺数の調査を命じたので，明治二・三年の交，全国二八一藩から上申あり，本書はこれを旧修史局において集録編纂したものと考えられる．明治初年の国勢を知る唯一の史料であるばかりでなく，当時における各藩の生産額などの経済的基礎を知る稀有の史料である．また全国二八六藩の職員・兵隊などについても別項をもうけて記載する．

解題
森谷 秀亮一
江戸幕府が滅んで明治維新が実現した明治のはじめ、全国は政府の直轄地である府・県と、大名の封 上である藩とに分れていた。府・県の多くは戊辰の戦争で賊名を帯び、政府に没収された旧幕領と奥羽諸藩の削封地から成り、多少の例外はあるが、おおむね京都所司代・大坂城代・奉行などの高級役人が治めていた重要地が府となり、郡代・代官などの下級役人の支配地と奥羽諸藩削封地が県となったようである。従って府は東京・京都・大坂・長崎・新潟・箱館・度會・奈良・甲斐の九府から成り、県も神 奈川・兵庫以下二十余の多きを算えたが、明治二年ごろになると、府は東京・京都・大坂(のち阪)だ けとなり、他はすべて県名を唱えることに改められたのである。

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