今村仁司の社会哲学・入門―目覚めるために
桜井 哲夫
講談社
1,900円(+税)

カバー上部にスレ
見返しに著者謹呈の短冊貼付あり
ほんのりヤケ
ほんのり反り

【内容】
現代思想の中心的理論家・今村仁司。
その問題意識の核心は「労働」「暴力」であり、それは社会の生成論、近代の解析、ユートピア論、覚醒倫理の追究などへと拡がってゆく。人間存在の原基的あり方、社会形成の根本動学解明への探究は死の直前まで続いた。
あらゆる思想史を渉猟し、自らの一大体系を打ち立てた思想家の社会哲学。

【目次】
■序章　トランスモダンへの疾走
「パリの五月」と「プラハの春」から
第三の近代へ
非西欧地域に探る近代の意味
ベンヤミン 親鸞
われわれはどこから来てどこへ行くのか

■1 近代性を問う
講義『近代性の構造』
「自己との関係」「他人との関係」「人間と自然との関係」
自己保存の概念
アドルノ、ホッブズの自己保存論
自己保存から自己破壊へ
自己破壊衝動
自己規律によって構築される市民社会

■2 近代的労働の体制――近代的奴隷制を超えるために
「労働の神聖化」に対する批判
西欧形而上学における「生産」
自己表現であるような労働
未開社会の労働
古代ギリシアの労働
労働観が変化し始める中世
すべての人間が労働人間に
労働神聖化イデオロギーの浸透
労働と価値とは別物
アンリ・ド・マン
「労働の喜び」は「他人からの称賛」
社会的人間の土台=虚栄心
承認欲望
ラファルグの「怠ける権利」
労働の未来

■3 暴力と排除――第三項排除効果
「原初的暴力」と「第三項排除」
「アスディワル武勲詩」の神話分析
暴力をコントロール
犠牲者と君主
権力者
近代貨幣
贈与
商業恐怖と貨幣への嫌悪
「透明な共同体」
暴力を制度的に回避

■4 イデオロギー批判の系譜――マルクスからベンヤミンへ
反映論的経済史観への批判
「市民社会」「経済」という現象
唯物史観を乗り越える
アルチュセールのマルクス読解
マルクスの経済イデオロギー批判
イデア論をめぐるマルクスとベンヤミン
価値表情
ベンヤミン「倦怠」
倦怠と永遠回帰

■終章「目覚め」の倫理
「覚醒倫理」
学僧・清沢満之
自己への配慮と他者への配慮他者の覚醒
覚者の共同体
世俗に学ぶ
神的ゲヴァルト

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