「出口なお 女性教祖と救済思想」

安丸 良夫

定価: ￥ 1240



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本書はあくまで出口なおという稀代の宗教者の評伝であり、”大本”を主題とするものではない。しかし評伝の形ではあるが、ハードな民衆思想史でもある。通俗道徳と急激な社会変動による強烈な抑圧を一身に背負ったある女性が、その抑圧の頂点で「神がかり」と化し爆発する。時代は明治になって豊かになるが、江戸の社会システムの豊かさは「男目線」の解釈である。なおという、この時代のありふれた女性が、抑圧を逆手に取ったかのような思想を展開するのは非常に興味深い。貧困に喘ぎながらもひたむきに生きてきた無学な女性、無学文盲だが勤勉で自己抑制の強い女性、そんな彼女の不幸の最果てで神が降りてくる。一人の女性教祖の自己形成と生涯における苦難をまざまざと描いており圧巻。