ラフマニノフ 2枚組

①24の前奏曲

②ピアノ・ソナタ第2番 (1913年原典版)



ヴラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)

録音:1974年、1975年、1980年



ショパンと並んでアシュケナージのライフワークとも言えるラフマニノフ。1975年録音の『24の前奏曲』は、高度なテクニックと的確な解釈による名演として語り継がれています。カップリングとして1980年録音のピアノ・ソナタ第2番を収録しています。



アシュケナージとラフマニノフの相性は抜群です。ラフマニノフの交響曲や協奏曲を指揮したり、ピアノ曲を奏する限りにおいては、アシュケナージはまさに「水を得た魚」のような印象です。この前奏曲集やソナタも、卓越した技量の下、力強い打鍵からラフマニノフ特有の憂愁に満ち溢れた繊細な抒情に至るまで、緩急自在のテンポを駆使した圧倒的な名演を繰り広げています。アシュケナージのグラマラスなピアノの響きは、ラフマニノフの音楽が持つ甘美な魅力を余すところなく表現しています。しかも決して気分に流されることなく、個々の作品が持つ世界を的確に描き分けています。やはり現役ピアニストでラフマニノフを弾かせてアシュケナージの右に出るものはやはりいないでしょう。



アシュケナージにとって「ラフマニノフは特別」とよく言われます。演奏からもそれが感じられます。ピアノの音は極彩色とも言える音色感とメロメロになりそうで絞めるところは締める、歌がすぱらしくロシア的と言うのでしょうか。24の前奏曲はもちろんショパンを意識して作曲されたもの、ピアノ・ソナタ第2番がさらに素晴らしいです。大地にしっかりと根を張り、たくましく生きること死ぬことへの喜怒哀楽を聴かせてくれます。もちろん、華麗な超絶技巧も満載です。



ラフマニノフの演奏には、ホロヴィッツ・リヒテル・ギレリス・ガヴリーロフのようなソ連系のバリバリのテクニシャンがふさわしい。現役ピアニストでラフマニノフを弾かせてアシュケナージの右に出る者はいないだろうから、これはこれでお勧めできる。



輸入盤、盤面傷無し 9



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