「母とともに治す登校拒否 母子分離不安の治療研究」
黒川 昭登
定価: ￥ 3,800円+税

本書は、登校拒否の子をもつ親にも、また、専門的な治療者にも役立つように書いたものである。まず、あなたの子どもは、登校しなくなった時、お腹が痛い、頭が痛いとは言っていなかったか。特に、保育園入園時や小学校入学時、身体症状を訴えて通園、通学を渋らなかったか思い出してみることである。そう言われれば、子どもは、そのようなことを訴えていた、というのであれば、さらに、子どもは乳幼児期から、喘息、アトピー性皮膚炎、夜、寝つきが悪かったとか、夜尿、指しゃぶり、爪噛み、乗り物酔いなどがあって、それが小学校高学年まで続いたということはなかったか検討してみてほしい。また、子どもは、登校しないだけではなく、母親が台所に立っても、ゴミを棄てに外へ出ても、トイレに入っても母親の傍から離れようとはしなかった、とか、母のひざの上に頭をのせて耳垢を取ってほしいとよく言ったりしなかったか、ということを想い出してほしい。いや、現在でもそんな状態である、と心配しておられるのであれば、その方が治りは早い、と申し上げたい。しかし登校拒否が本格的に始まって、一年以上たつ、ということであれば、子どもは身体症状を訴えたりしなくなることがある。それは、身体症状が治ったからではない。なぜなら、子どもに再登校をすすめると同じ症状が起こるということから、治っていないことを知らされるのである。また、子どもが中学生以上になると、母親にひっついて離れないということもしだいになくなってくるが、これで親は子どもが安定したと安心したりするが、そうではなく、治療は、しだいに難しくなるのである。ともかく、登校拒否が始まれば、早期に適当な治療機関で相談することが大切である。迷いは禁物である。登校拒否に関して、現在、さまざまな出版物や情報が出回っている。

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