バッハ

①ピアノ協奏曲第3番ニ長調 BMV1054

②ピアノ協奏曲第7番ト短調 BMV1058

モーツァルト

③ピアノ協奏曲第25番ハ長調 K.503



スヴャトスラフ・リヒテル（ピアノ）

指揮：ユーリ・バシュメット

パドヴァ=ヴェネト管弦楽団

録音：1993年10月パルマ



リヒテルの最晩年の姿を伝える演奏。1993 年パルマのテアトロ・ レージョにおけるライヴ録音。指揮は親交のあったユーリ・バシュメット。この最晩年の録音を耳にしても、年老いて音楽に倦んだ老人の姿は想像できない。たとえばこのバッハの音楽の清冽さはどうだろう。70代後半にまるで新たな作品に取り組むかのようにバッハを弾く。いや、実際に新しかったのだ。モンサンジョンの著作によれば、リヒテルがバッハのピアノ協奏曲第3番および第7番を演奏するようになったのは90年代に入ってから。彼の音楽の地平はいまだ広がり続けていた。55年間の演奏活動は、この巨人にとってはあまりに短すぎたのかもしれない。（飯尾洋一氏 ）



リヒテルのピアノには、知的なひらめきを感じさせるような明晰さは期待できないものの、情感を練りこむような、独特な味わいがある。リヒテルのピアノの音の伸びのよさと、表情の大きなバシュメットのサポートが組み合わさり、恐ろしく弾力性のある演奏に仕上がっている。



ピアノ(チェンバロ)協奏曲第3番BWV1054は、有名なヴァイオリン協奏曲第2番BWV1042をチェンバロ協奏曲に編曲したもの、そしてピアノ(チェンバロ)協奏曲第7番BWV1058は、同じく有名なヴァイオリン協奏曲第1番 BWV1041をチェンバロ協奏曲に編曲したものです。ヴァイオリン協奏曲の方はあまりにも有名であり、それ故に多くの人の耳に馴染んだ音楽です。これらを較べてみるのは楽しい体験です。本来はヴァイオリン用に書かれた楽譜をいかにしてチェンバロに置き換えたのかというバッハの腕の冴えを感じとるのは格好の素材だと言えます。ヴァイオリンであるならば纏綿と歌い続けていく場所を、細かい音に分割し、さらにはそこに細かい装飾音符で飾り付けていく手法は見事と言うしかありません。



輸入盤、盤面傷無し

プラケース少しすれあり　7



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