バッハ

インヴェンションとシンフォニア BWV772-801（全曲)

　 (2声と3声のためのインヴェンション)



グレン・グールド(ピアノ)

録音:1963年



ピアノ練習曲と思われていたバッハのこの作品を、再評価して、最高芸術作品へ引き上げた記念碑的な録音です。もちろん名曲名盤の選定では常に第1位にランクされています。個性的でありながら普遍的な演奏です。不滅の名盤1000にも選定されています。グールドのゴールドベルク変奏曲を聴いて、もっとグールドのバッハを聴きたいと思われれた方には必聴のディスクです。



クラヴィーアの習得を望む者のために、バッハが２声と３声をきれいに弾けるように作曲した、いわば教材。しかし、本作はこのような小曲集であっと驚く豊穣な音宇宙を創造してみせるグールドの真骨頂が一番強く発揮された作品です。考え抜いた曲の配列、解釈で演奏される長調の曲はきらめくように明るく、短調の曲は限りなく深遠で、約５０分の世界に魅了されます。このような音の建造物を構築できるのはグールドしかいない。グールドが残してくれた遺産の素晴しさは死後４半世紀以上経過した今でも、衰えるどころかますます不滅の光を増しています。



グレン・グールドのインベンションとシンフォニアの演奏は、軽快で聴き手の意識を引き寄せる力があるのと同時に、深く、謎も多い。でも謎が多いからこそ聴くことに興味が湧いてくるし、バッハの創った楽曲が非常に大きな表現の可能性があるということに気付かされる。そしてグールドの演奏自体は、大胆に曲全体を一気に弾ききるのに、詳細を慎重に聴いてみると非常に繊細なニュアンスを付けられている。そして魔法のように正確なリズムを刻み、本当に良く曲の中身が聞こえてきます。



国内初期盤、帯無し、盤面傷無し 11



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