「岩波書店の会長だった小林勇が、第一高等学校の校長、京都帝国大学文科大学初代学長を務めた狩野亨吉の隠された生活を描いたもの。東京大学卒業後、四高・五高の倫理学教授を経て一高の校長となった。夏目漱石が英国留学後、一高講師になったのは狩野の推薦による。また京都帝大時代に英文科に夏目漱石を招くことも強く望んでいたが、漱石は固辞し東京朝日新聞社に入社した。漱石の『吾輩は猫である』に登場する「苦沙弥先生」のモデルは狩野亨吉だといわれており。漱石の葬儀にあたっては友人代表で弔辞を読んでいる。

一方一高在任中の1899年（明治32年）江戸時代の思想家安藤昌益の著書『自然真営道』を見出し、1928年（昭和3年）『岩波講座　世界思潮』第三冊誌上に「安藤昌益」を発表し紹介した。

狩野は生涯独身で40歳を過ぎてからは隠遁生活を送り、浮世絵や春画の蒐集家としても有名で、改造社社長の山本実彦からは「春画蒐集にかけては日本一」と折り紙をつけられた。

めったに肖像画を描かない画家の須田剋太が「狩野亨吉像」を描いており、哲学者の田邊元は「自分の学問の師はあきらかに西田（幾多郎）博士であるが、人生の師は狩野博士である」と述べたといわれる。また、弁護士の正木ひろしは「狩野先生こそ本当の国宝的人物だ」と評した。

『ウィキペディア（Wikipedia）』





文芸春秋・昭和４６年９月初版発行の小林勇　「隠者の烟」函付きです。経年のヤケも少なく、シミや書き込み、蔵書印などもありません。

５３年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。



※小林勇の以下の作品も出品しています。

赤い鞄　

一本の道　

蝸牛庵訪問記