ヴィヴァルディの「四季」は、イ・ムジチ、ミュンヒンガーによって世界的名曲として定着した。1970年頃にパイヤールやマリナーなどの室内管盤が一巡した後、カラヤンによる大オーケストラ盤が登場したことにより飽和を迎えた。その時突然衝撃的に現れたのがこのアーノンクール盤。ゴシゴシ軋むような合奏をベースに、超スピードの主旋律とピストルのようなピチカート、極端なテンポの可変など、従来の「四季」のホンワカさは皆無だった。この演奏の登場で「四季」はその後何でもありの状態になった。この盤の登場で日本でも一躍有名となったアーノンクールは考古学のような学問的研究を裏付けとして新しい手法をどんどん追求し、大巨匠となった。音楽とは美しいものだけではない。時には醜（雑音）もまた音楽の真実のために必要だ！

ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

ヴィヴァルディ「四季」

・和声と創意への試みop.8-1~4「四季」 協奏曲第1番ホ長調「春」

・和声と創意への試みop.8-1~4「四季」 協奏曲第2番ト短調「夏」

・和声と創意への試みop.8-1~4「四季」 協奏曲第3番ヘ長調「秋」

・和声と創意への試みop.8-1~4「四季」 協奏曲第4番ヘ短調「冬」

・和声と創意への試みop.8-5 協奏曲第5番変ホ長調「海の嵐」

・和声と創意への試みop.8-6 協奏曲第6番ハ長調「喜び」

1976～77年録音

テルデック海外（ドイツ）盤（1993年製造）