桐の共箱入りの綴織（つづれおり）袱紗（ふくさ）です。

成長が続くようにという願いが込められた根引松が金糸で織られ、裏の紫地と相まって上品さ高貴さが。



「袱紗」は「帛紗」とも、共箱の蓋は「つづれ富久紗」の漢字。「富久紗」を包む和紙には「つづれ織　暁山人作」、「正絹」のシール、「暁山人」の朱文落款が。

「暁山人」は、読みは「ぎょうざん（さん）じん」？作家の雅号（がごう）？工房の屋号でしょうか？



ネット上で「暁山人」作の帯や掛け軸、袱紗や卓飾、懐紙入れなどが見られ、その中の古物懐紙入れの栞に、製造元「京都・龍安寺畔　勝山九一　暁山人」の記載が。調べた結果、ざっと次の『』ような内容でした。

『創業は不明（昭和前？）ですが、西陣織物製造「勝山九一商店」に始まり、その子らが昭和５０～６０年代に（株）本つづれ勝山、（有）暁山勝山、（株）白龍庵勝山を設立、白龍庵勝山の代表者の勝山朝成氏は数々の受賞歴、平成２７年２８年には西陣織展で文科大臣賞。また、織物は「爪掻（つめかき）つづれ」と呼ばれる技法が特徴。』

なお、現在の会社の状況は不明です。


ところで、「暁（あかつき、ぎょう）」は夜明けの意味。「山人（さんじん）」は、元々「山に住む人」や「世俗を離れ自然を親しむ人」の意味、転じて「世俗から離れた文化人」の意味合いで、江戸や明治期の書画などに、好まれて使われた雅号です。

「北大路魯山人（ろさんじん）」の雅号「魯山人」は、中国の詩人「陶淵明や白楽天」のゆかりの地「魯山（ろざん）」に由来するとも。「魯山人」が「世俗から離れた文化人」を自認していたかは分かりませんが。また、「山」は古来、日本人にとって神聖な場所でもあり、隠遁（いんとん）や自由の象徴でも。



龍安寺畔「勝山暁山人」は（株）本つづれ勝山の登録？商標のようです。「暁山人」は初代「勝山九一」が好んだ雅号で、後に会社の商標（屋号）としたのでは、推測ですが。



自宅保管品ですが、経年や爪掻つづれかなどは不明です。
共箱は若干の汚れや変色が、和紙の傷みなどはほぼありません。

「富久紗」の汚れやほつれ、四隅の房の縮れや抜けもほぼなく、未使用に近いと言えます。
袱紗以外に、縁起物飾り、額装にもいいのでは。



大きさ（㌢）重さは次の通りです。

【富久紗】

縦２０．２、横１８．３、重さ３８㌘／

【桐共箱】

縦２２．９、横２１．３、高２．３／