①ブラームス：クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op. 115

②イサン・ユン：クラリネット五重奏曲(1984)



ザビーネ・マイヤー(クラリネット)

ウィーン弦楽六重奏団員

録音:1990年



世界屈指のクラリネット奏者として活躍するザビーネ・マイヤーのクラリネットは、まろやかでコクのある響きで、ふくよかに歌う演奏です。現在まで続くマイヤーの活躍をみると、カラヤンが摩擦をも辞さずにベルリン・フィルに招聘したことも頷けます。モーツァルト、ウェーバーの作品と並びクラリネット五重奏曲の最高傑作とされるブラームス作品と1984年作のイサン・ユン(尹伊桑1917-1995）の五重奏を組み合わせたマイヤーとウィーン六重奏団員による精妙な演奏です。マイヤーとウィーン弦楽六重奏団員の緊密な息のあったアンサンブルが本当に絶妙です。



マイヤーは、ブラームスのクラリネット五重奏曲を、1999年にアルバン・ベルク四重奏団との共演で再録音しており、そりらの方が多く流通しているようですが、こちらの演奏も捨てがたい魅力を湛えています。まだ30歳前後の若々しいマイヤーの演奏は、ふくよかでありながら輝きと張りがあります。また組み合わされたイサン・ユンのクラリネット五重奏曲はそれほど聞く機会の多いありませんが、尹らしい明快な音楽に仕上がっており、クラリネット・ファンは必聴です。



このブラームスの1990年盤には、晩年のブラームスの脊梁はありませんが、カラヤンも愛でたという流麗な良さがあります。楽章の構成はソナタ形式の１楽章にはじまり、緩徐楽章である２楽章にはロマの音楽の影響があり、名技性も要求されるもの。協奏的にも活用されるのですが、あくまでもアンサンブルのうちにとどまるもので、全曲の白眉です。終楽章は得意であった変奏曲で閉じていきます。ここでは弦楽四重奏では焦点があたりにくい音色が不可欠なものとなっています。ウィーン母体のウィーン弦楽六重奏団の音色もまたブラームス的なウィーンの情緒、その細微を捉えた名演です。



国内盤、帯無し、盤面傷無し 3

ライナー経年のしみ少しあり



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