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様々な男女の愛の形や営みを見せてくれた大石の４９本目の本作品はニューハーフもの。しかも男と男というカップルが結婚するためにバリ島を訪れる３日間を描きます。これが女と女ならばまだ奇麗なのですが、ホモのカップルとなると「薔薇族」「サブ」系の汚い印象が強く、なんだかなぁと思いながら読み進みます。

ところか主人公のニューハーフの茉莉花は幼少時から性同一性障害に悩んでいて、高校を卒業した後おかまバーで自分の本当の姿に目覚めた「絶世の美女」。しかも性格もそこらの女よりも女らしいという、陰茎があることを除けば文句なしの「彼女」なのです。その茉莉花の恋人である健太はラグビー部のキャプテンも務めたたくましい男の中の男。２人が結婚式を挙げるため成田からバリ島へと向かうのだが、そこで待っていたものは、……という話。健太と茉莉花の心情を交互に描き出すことで、２人を取り巻く障害やお互いを愛し合う真心が丹念に描かれ「男と男」のこのカップルに祝福をと、読者を力強く引っ張ります。

こうしていよいよ明日は結婚式という日にバリのホテルを訪れた２人の結婚に猛反対の男たち。物語は突然破滅的な香りを帯びてきます。しかしこの波乱を乗り越えてハッピーエンド。と思ったら最後にどんでん返しがあって……という２段オチです。

ニューハーフゆえか、エロ・シーンは控えめでちょっと残念です。