①ベートーヴェン：ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61

②ブルッフ：ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調op.26



フリッツ・クライスラー(vn)

レオ・ブレッヒ指揮

ベルリン国立歌劇場管弦楽団①

ユージン・グーセンス指揮

ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団②

録音：1926年12月①、1924年12月②、ともにモノラル録音



懐かしのウィーン流のベートーヴェン。気品があって、それでいてロマンの香りが漂っている。19世紀風のとてもロマンティックで、セピア色の懐かしい香りの漂う演奏ですが、ベートーヴェンの「心」をしっかり表現しています。20年代の録音とは思えない程、音がはっきりとしていてヴァイオリンの細かいニュアンスを伝えています。



もちろん音は悪いが、クライスラーの音色はそんなことなど問題にならないほど、とろけるように艶やかで、まろやかで、美しい。しかしとろけ切らず、曲の造形の崩れは些かも見せず、まさしくアル・デンテである。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の「作曲者が珍しく幸福な心境でいるひととき」とか、ロマンの萌芽のようなものを、これほどまでに表現した演奏は、今日まで絶対に現れていない、と断言してしまおう。100年近くの長きにわたって生き続けていることが当然とも思える、天下無敵の名演奏である。ただし併録のブルッフは、アコースティック録音なだけに、さすがに音質がきつい。



クライスラーは共演者のアプローチを尊重するポリシーの持ち主であったが、ブレッヒとの共演では、自由自在にルバートをかけ、融通無碍の演奏を繰り広げている。ジョン・バルビローリの指揮するロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と再録音した際には、バルビローリの歩調に合わせていたが、こちらはブレッヒがクライスラーを自由に泳がせるような懐の深さを示している。クライスラーの独奏自体もブレッヒとの録音の方が技巧的に緻密で、音程も安定している。オーケストラは、ラッパ吹込み方式の流儀が残っていて、ダイナミズムの振り幅が狭いが、オーボエ等の中膨らみの響かせ方に典雅な演奏様式の一端を覗かせている。癇癪を起さず上機嫌で温和なベートーヴェン像が現出する演奏である。



国内盤、帯無し、盤面傷無し

プラケースすれあり



＊まとめ買い値引き致します(要事前コメント)

　追加1点に付き各150円

　10点以上は全品150引き