《図録》ピカソ展
パリ・国立ピカソ美術館所蔵

1999年3月〜6月
上野の森美術館

20世紀の美術界で，パブロ・ルイス・ピカソ（1881-1973）の存在はあまりにも大きく，世界各地の美術館や研究者によって検証・研究作業がつづけられています。
「私はピカソの世界一のコレクターだ」といったのは、誰あろうピカソその人でした。生前のピカソ
は，私生活にかかわる作品，妻や子ども，そして愛人たちを描いた肖像の多くを特別な作品として手元に残そうとしました。また，転換期の過程を示す制作ノート，交友関係を示す書留類、あるいは画商との契約書からレストランの領収書にいたるまで，プライベートにかかわる一切の資料を自らの制作上の謎を解く鍵とすべく，後世の研究者のために大切に保存していました。この希
代の芸術家は、「わからない，わかりにくい」と評される作品を次々と生み出す一方，自らの作品が時代とともに，あるいは時代に先行して存在することを自覚し，後世に自らの評価をゆだねた
のです。
1973年，南フランスのムージャンで享年92歳の生涯を閉じたピカソのアトリエには、その謎を解明するための膨大な作品と資料が残されていました。パリ・国立ピカン美術館は，これらピカソが残した謎解きのしるべともいうべき秘蔵作品，資料をもとにピカソ研究の中心機関として1985年に開館しました。各時代の最高傑作を含む多数の絵画，膨刻，版画、素描，陶器といった作品
や写真，ノート、書簡類をはじめとする膨大な資料を所蔵・展覧し、1998年に日本で開催された「ピカソと写真展」にみられるような研究成果を着々と発表しています。このたび、上野の森美術館で開催される「ピカソ展」は，パリ・国立ピカソ美術館の協力のもと，その所蔵作品のなかからとくに優れた86点を厳選し、「ピカソ」芸術の本質とその生涯の謎に迫ろうとする試みです。

［状態］表紙、本体、印刷ともきれいな状態を保っています。
22.2×30.5×2cm 253ページ1216g

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