「藩邸差配役日日控」　

定価: ￥１９２５円（税込）　　



「霜月記」　

定価: ￥１７６０円（税込）　　



「藩邸差配役日日控」の舞台は、

神宮寺藩という架空の藩の江戸屋敷。

その運営は差配役の里村五郎兵衛の手に委ねられていた。

差配役は、他の人がやらない藩邸の仕事を全部引き受けるもので、

陰で（自分でも）“なんでも屋”と揶揄されていた。

言ってみれば、庶務課長か秘書室長か。

その五郎兵衛のもとに舞い込んで来る雑多な仕事をつづったのが、

この連作短編集。

大小さまざまな問題を

才覚で乗り切る五郎兵衛が魅力的に描かれる。

最後にそれまでの様々なことが一つの点に収束し、

ある秘密が明らかになる。

時代小説だが、お仕事小説の側面もあり、ミステリー色もある。

人物描写、情景描写など、

武家ものの短編小説でも、砂原浩太朗は見事の腕の冴えを見せる。



「霜月記」は、

これも架空の藩の神山城下が舞台。

父親が隠居の手続きの受理を見届けて、失踪し、

家の職務である町奉行の職が

まだ若い草壁総次郎に引き継がれる。

先々代の名奉行と言われた祖父・左太夫の助けを借りながら、

奉行職をこなしていく総次郎の成長物語。

と同時に、父と子の物語でもある。

城下で起きた殺人事件を探索する中、

最後に藩の家老の陰謀が発覚し、

父が失踪した真相も明らかになる。



砂原浩太朗の４冊目と５冊目の単行本。



カバーをして１度読んだきりで、新品同様です。