ディオールオムには随分と驚かされました。エディさんの仕立てます服の細い事、細い事。こちらには手も足も出ませんサイズ感。ディオールの紳士服に突如訪れましたモード旋風に、随分と泣かされた御仁もおりましょうか。今はメンズレディースなどの区分けをする時代ではないようですが、その昔オムの前にはムッシュラインがございました。ボアンさんなどがデザイナーを務めてはおりましたが、モードと呼びますよりかは、ディオール的クラシックとでも呼びましょうか。時代や流行を超えたデザインとフォルム、素材や仕立てに拘った優雅なパリ風紳士スタイルに溢れておりました。幅広くライセンス展開しておりましたので、ヨーロッパや、アメリカをはじめ、ここ日本でも随分と紳士方に愛されておりました。ライセンスとは言え、実にお国柄の出る仕立てを持っておりました。その中でもアメリカメイドは老舗の生産工場を持つ故、別格のディオール感を放っており、実に逸品揃いでした。さて、こちらはそんなアメリカメイドのロングコートです。どうでしょう？このシックな色気！そして優雅なフォルム！やや肩幅をとり、ゆったりとした流れる様な美しいライン。モードとは一線を画す、ディオール的クラシックスタイルがここにはありましょう。仕立てますのはアメリカの老舗ファクトリー。この頃のアメリカファクトリーは、バーバリーさんやらアクアさんなど数々のブランドのライセンスものも仕立てておりました時代。実に素晴らしい仕立てしております。柔らかですが上質で肉厚のウールをたっぷりと使い、襟袖にはハンドを取り入れ、丁寧に仕立てております。裏地もこの年代らしく光沢が美しい。脱いで手に持ちましても、その姿には色気が漂いましょうか。ラペルやボタンホールも丁寧な手縫い仕立て。些細なディテールですが、やはり目を惹く重要なポイントでしょう。ちょっとしたビスポーク風コートに仕上がっております。男のコートは長くて重い、、これぞパリ的な紳士コートでしょう。袖裏に多少の薄汚れ、多少の生地スレなどはあれども、全体的にはとても美品です。アメリカ製の上質なムッシュラインのコートは、今や希少な一着。着込むほどより風合いを増して参ります。男のコートは背中で語るもの。どうぞたっぷりと背中で語ってくださいまし。

サイズ　
肩幅52 身幅62 袖丈64 着丈121
素材　ウール
色　ブラック
アメリカ製