ラヴェル

①ピアノ協奏曲

②高雅にして感傷的なワルツ

③左手のための協奏曲



クリスティアン・ツィマーマン (ピアノ) ①③
ツィメルマン

指揮:ピエール・ブーレーズ

クリーヴランド管弦楽団 ①②

ロンドン交響楽団 ③

録音:1994年①②、1996年③



伝統的な構成法を守った軽妙洒脱なト長調、荘重で悲劇的色彩を持つ技巧的なニ長調。ラヴェルのピアノ協奏曲は、いずれも作曲家が愛したピアノという楽器のために大変緻密に仕上げられています。ツィマーマンとブーレーズという珍しい顔合わせによる演奏は、この20世紀のピアノ協奏曲の傑作に新しい光を当てたものといえましょう。《高雅にして感傷的なワルツ》の管弦楽版をカップリングしています。



ツィマーマンとブーレーズ の共演は、予想通り非常に明快で精緻な演奏ですが、これだけ完璧に演奏されれば脱帽するしか無い、と誰もが思うでしょう。ツィマーマンの粒の揃ったピアニズム、ブーレーズの楽譜の隅々まで見逃さない指揮振り、しかし神経質なところが全く無いのは芸術家としての器の大きさを表していると思います。



鋭敏、玄妙な音色が次々と繰り出される、夢幻のようなラヴェルである。こうした曲を指揮するときのブーレーズは、完璧といいたいくらいの音色の透明感、見通しのよさがあり、どんな遠くの微細な音も彼方から輝いて見える。まるで氷細工か宝石のように透明なオーケストラだ。そこに逞しい太陽の光の如く降り注ぐのがツィマーマンのピアノである。ひとつひとつの音に確信に満ちた力がこもる、この実在感がツィマーマンの魅力。往々にして不健全とみなされがちなラヴェルの音楽が、ダイヤモンドのように淡く贅沢に輝いている。ト長調の協奏曲では、この曲に顕著なジャズ的要素を求める向きには、もう少しスウィング感が欲しいかもしれないが、この無類の仕上がりの立派さの前には、それもないものねだりかもしれない。



輸入盤、盤面傷無し 12
プラケース少しすれあり



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