著者プロフィール

宮城県石巻生まれ、東京府育ち。明治から昭和にかけて活躍した白樺派を代表する小説家のひとりで、多くの日本人作家に影響を与えた。作品は私小説、心境小説のジャンルに属し。文体は簡潔にして明快であり、文章の理想形だとされた。美しい完成された作品群から「小説の神様」と呼ばれ、芥川龍之介や森鴎外からも高く評価され、文学を志す者から崇拝されてきた。

志賀直哉は各界の文化人との交流も盛んで、小説家の仲間はもちろんのこと、哲学者や画家、政治家とも親交を深めました。例えば、学習院以来の友人である武者小路実篤、細川護立、柳宗悦、里見弴らの他、谷崎潤一郎、梅原龍三郎、安倍能成、和辻哲郎、安井曽太郎、谷川徹三、高田博厚、小林多喜二、尾崎一雄、 広津和郎らと交流を持った。

彼の死後、奈良市高畑町の家が「志賀直哉旧居」として公開されると、志賀を惜しむ各文化人がここを訪れ文化議論を行うようになり、いつしか「高畑サロン」と呼ばれるようになった。





「志賀直哉の短編集。志賀は、この短編集の計画について山崎斌宛書簡に「題は「映山紅」つゝじの事。短篇六つをつゝじの花弁といふつもり」とつづっています。この書簡にある言葉通り、六つの短篇が収録されています。収録されているのは下記。

・真鶴

・城崎にて

・百舌

・雪の日

・山科の記憶

・菰野

書簡の宛先である山崎斌（やまざきあきら）は作家であり、染織家だった人物です。和紙・木活を使用した草木屋出版版『映山紅』の装丁デザインを行っています。こちらは全国書房版『映山紅』。草木屋版と同様に和紙が使われた趣のあるデザインです。（ころがろう書店の書籍案内文）



全国書房・昭和２１年１２月初版発行の志賀直哉「映山紅」夫婦函付きです。函にはヤケ、小スレが少しありますが、本体はシミや書き込み、蔵書印などはありません。小口のカット面が不揃いなのは裁断ミスではなく、アンカット本をカットした為です。本文はデリケートな漉和紙装です。

７８年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。