『O侯爵夫人 他６篇』
クライスト作 相良守峯訳
岩波文庫 2006年第８刷

【ハインリヒ・フォン・クライスト】
1777-1811 ドイツの劇作家、小説家、ジャーナリスト。財務省等の官職を辞し、劇作に専念する道を選ぶも世間からは認められず、生活苦の中で人妻と共にピストル自殺した。
２０世紀になり評価が高まり、現代ではドイツを代表する作家の一人とされる。

なかなかに波乱の人生を送っており、表題作は、彼がスパイ行為で戦時捕虜収容所に収容されていた時に書かれている。

【文庫本帯文より】
「息つぐまもなく読者を引きずってゆく雄勁な筆致、作中人物の強烈な個性。ドイツ散文の珠玉と讃えられるクライストの全短篇を収録。」

【『O侯爵夫人』書き出し】
北イタリアの名高い都、M市において、令名たかい貴婦人であり、躾のよい数人の子の母であるO侯爵未亡人が次のような広告を諸新聞に掲げた。「私こと、みずから覚えなきにただならぬ身と相成り申し候。やがて生まれるべき子の父なる人は御名乗りいで下さるべく、家族のことを考慮いたし、結婚すべき決心に罷在り候。」
この書き出しから、印象深い作品です。

他の収録作品も、緊張感の高い文体で、奇想天外な物語が展開されていく。
日本でも長年親しまれ、「鴎外が驚愕し芥川が激賞し太宰が傾倒した」とされる。

【状態】
とてもきれいな状態です。ヤケ、シミ、汚れ、破れ、書込みなどありません。
敢えて言えば、カバー上端に弱いシワ。写真⑤で確認可能です。

#O侯爵夫人 #チリの地震 #決闘
#クライスト #岩波文庫 #ドイツ文学
#ハインリヒ・フォン・クライスト