ベートーヴェン

①ピアノ・ソナタ第21番ハ長調 Op.53『ワルトシュタイン』

②ピアノ・ソナタ第17番ニ短調 Op.31-2『テンペスト』

③ピアノ・ソナタ第24番嬰ヘ長調 Op.78『テレーゼ』

④ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調 op.81a『告別』



フリードリヒ・グルダ（ピアノ）

録音：1967年



2000年に69歳で世を去った20世紀を代表する名ピアニストのひとり、グルダによるベートーヴェンの４大ソナタ集です。グルダは1950年代に第１回目のベートーヴェン：ピアノ・ソナタの全曲を録音していますが、ここに収録された４曲は1967年の７月から８月にかけて一気に録音された２回目の全集からのもの。いずれもグルダ壮年期ならではの覇気あふれる演奏で、各曲の性格を明快に表現した完成度の高い演奏になっています。ベートーヴェンのソナタでは第一に選ぶべき名盤です。



鋭敏なリズムと、名人芸的アーティキュレーションが、演奏に素晴らしく爽快な推進力を与えており、その中で、細大漏らさず示される自由で確かな様式感覚が、各作品から説得力に富んだ音楽を引き出しています。録音から50年以上が経過していますが、録音も素晴らしく、全体の完成度や、バランスの見事さ、ベーゼンドルファーの響きの美しさといった点で、いまだにベストワンに選ぶ方も多いです。バックハウスの全集と双璧の不滅の名盤です。



グルダは、当時離婚する妻への慰謝料支払いのために、この4曲を含む全集を録音したとの話ですが、それがきっかけでグルダの全盛期に「世紀の名演」が記録されたことは、本当に幸いなことです。何年もかけて全集を完成するピアニストも多いですが、グルダはひと夏の数か月で全曲を録音しており、短時間で仕上げているにも関わらす、その完成度の高さにも驚かされます。残響の少ないAMADEOの録音もグルダの繊細なタッチを明晰に捉えており好ましいものです。グルダの演奏を「軽い」とする向きもありますが、50年が経過しても斬新、知的、爽快であり、総じて歴史に残る圧倒的な名盤《不滅の名盤》とすることに躊躇はありません。



国内盤、帯無し、盤面傷無し　9

プラケース少しすれあり



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