今回出品するのは、国際数学者会議(ICM)で招待講演を行い、あのアインシュタインとも親交があった等、世界トップレベルの数学者でありながら、大学受験数学参考書界の「神様」とも崇められていた東京工業大学名誉教授の数学者・矢野健太郎氏の参考書の中でも特に稀少な『難問解法のテクニック[再訂版]』(科学新興社)です。
同じ出版社から出ていた矢野健太郎氏の代表的な参考書『解法のテクニック』シリーズの上級版として著された本書はその名の通り、著者本人に「なにもここまでやらなくてもよいのではないか...」と言わせてしまうほどの難問だけが集められており、なによりその解説が
「残念だがこの方針はボツにする」
「具体化の道はないと洞察して」
「～の変形がますます魅力となるが」等々、
かなり自由な語り口調で語られており、“受験数学の問題を解くとき、世界一流の数学者はこういう風に考えるのか！”ということがわかる、世にも珍しい参考書となっております(ただでさえ国際数学者会議(ICM)で招待講演を行うほどの優秀な数学者が受験数学の参考書を書くこと自体殆どないのに、しかもそれがこのような内容と来たものですから、ちょっと類書は見当たりません。)。
「難問解法のテクニック」は、2度大きな改訂が行われており、1966年の初版、1969年の改訂版、1972年の再訂版の3つの異なるバージョンのものが存在するようで、今回出品させて頂くのは、その中でも最も完全なバージョンである最後期の《再訂版》のものになります。調べてみるとわかるのですが、この再訂版のものは、あの国立国会図書館にも所蔵されておりません。

商品名：難問解法のテクニック 数学Ⅰ・ⅡB [再訂版]
著者：矢野健太郎
出版社：科学新興社
発行年月日：1974年1月10日
版・刷：再訂第4刷
状態：書き込みありません。

【著者略歴】
・矢野 健太郎(やの けんたろう)
東京生まれ。数学者、東京工業大学名誉教授。東京帝国大学理学部数学科卒業。50年から52年まで米プリンストン高等研究所に在籍し、アインシュタインらの知遇を得る。のち、東京工業大学教授などを歴任。相対性理論の数学的基礎付けをなす微分幾何学の権威で『微分幾何学』『初等解析幾何学』などの専門書がある一方、教科書、啓蒙書、数学エッセーなどを多く著し、受験参考書の著者〈ヤノケン〉としても知られた。