2009年発行

全 48ページ

状態：中古 概ね良好



■本書序文■

わずか四半世紀前の高度経済成長期には、マンガやテレビアニメーションは、

こども達の成長を妨げるものの代名詞で、

漫画家達はPTAの集会に呼び出され、漫画を出版する会社には、抗議の声が絶えなかったといいます。



しかしながら、MANGAOTAKU、そしてJAPANIMATION。

漫画文化・アニメーション文化を意味する、これらの単語のいずれもが、

国際語として立派に通用する言葉になるほどに、日本の漫画やアニメは、

今や、わが国を代表する輸出産業の花形として、もてはやされるまでに至っています。



僅か四半世紀前の“悪書追放”運動の象徴として、

槍玉に挙げられていた時代から見ると、まさに隔世の感が否めません。



一方、こうした漫画文化の礎を築いてきた漫画家と、

二人三脚で歩んできた多くの人々、特に編集者の艱難辛苦の歴史については、

マンガ文化隆盛の影に隠れ、これまでは、あまり脚光を浴びる機会には恵まれていませんでした。



戦前の大日本雄弁会、すなわち現在の講談社に勤め、『少年倶楽部』

誌を当時の少年雑誌の売り上げ第一位にまで押し上げ、戦後は学童社を設立し

『漫画少年』誌で、数多くの漫画家を世に送り出した、

加藤謙一氏も、漫画文化を支えてきた、縁の下の力持ちの一人です。



文京区は、江戸時代の紙漉きに始まり、近代以降、印刷や製本、

出版に関連する地場産業が盛んとなり、“印刷のまち”として発展してきました。



本年度の特別展では、文京区の特色の一つ、印刷・出版文化史の一端として、

名編集者の誉れ高い、加藤謙一氏の業績をご紹介します。



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