ショパン

①ピアノ協奏曲第1番ホ短調 op.11

②ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op.21



中村紘子（ピアノ）

指揮：アナトール・フィストゥラーリ

ロンドン交響楽団

録音：1984年7月　ロンドン



華々しい技巧を駆使して、ロマンティックな情感を豊かに表現した演奏。日本を代表するピアニスト・中村紘子が、巨匠フィストゥラーリ指揮ロンドン交響楽団の万全のサポートを得て録音したショパンの協奏曲２篇。広いレパートリーを誇る中村ですが、ショパン国際コンクールでの入賞がそのキャリアを大きく前進させただけあって、ショパン作品は彼女にとって最も重きを置くもの。本作でも大胆なタッチを駆使して、作品のロマンティックな情感を豊かに表現した演奏を聴くことができます。



小柄な体格とは思えないほどの豪快で力強いダイナミックなタッチによる鋭い切り口でショパンの傑作世界の広大なロマンを描き切り、挑戦的に挑み、作品の持つ作曲者の祖国ポーランド的・国民主義的な威厳さをも表現して見せている。これは、言うまでもなく、大胆で重厚・劇的なドイツ的演奏と言う形容がしっくりくる演奏。第1番の持つフランス的なエスプリをも併せ持つ情緒や、第2番の持つ古典的で民族的な響きは聴く者をして19世紀のパリやワルシャワのサロンやコンサートホールに居るのではと幻想的な錯覚すら覚えさせられる。円熟の境地を知る上で鍵となる名演に酔った演奏と言っても過言ではない。特に第２番の第２楽章ラルゲットの表現が素晴らしい魅力を生んでいる。ショパンのワルシャワ時代に叶わなかった切ない恋愛の感情をぶちまけて音楽に昇華させたかの様な思わず中村紘子の弾くショパン演奏によって彷彿とさせられる良い演奏例に属するもの。フィストラーリの指揮とロンドン交響楽団の劇的な演奏のバックとサポートを背景に思い切った白熱のショパン世界を聴かせてくれるもっと世に広く知られるべき究極の名演に恥じない価値を持っている。当音源はソニークラシカルから何度も再リリースされてきたアルバムだが、その頻度が、中村氏の弾くピアノ演奏の需要の高さをよく物語っていると言えるものがある。



国内盤【廃盤】帯付き、盤面傷無し 6



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