■サンタフェ郊外にある「Nambe trading post」でみつけた『Chester Nez 1960年代後半制作　Blue Gem turquoise　Contemporary ring』です。
1921年ナバホネーション「トハッチー」で生まれ、2014年ニューメキシコ州「アルバカーキ」にて93歳で亡くなったネズ氏……
重厚で平面的形状、アシンメトリーな上部、片側はスロープ状に突起し反対側端にターコイズをネジの様に差し込んだ(この技法は現代作家の作品に応用されています)デザイン……
このリングを見たとき、とてもインディアンジュエリーとは思えない衝撃を受けました。
制作された1960年代はインディアンジュエリー界のカリスマ「チャールズ・ロロマ」が従来の概念を壊し、独創的アイデアやデザインで「身につける彫刻」と呼ばれた新しいインディアンジュエリーの概念～「コンテンポラリー」(※逆に伝統的デザインの作品は「トラディショナル」と呼ばれるようになる)と呼ばれる作品分野が誕生したまさに革命期でした。
しかし第二次世界大戦に従軍させられたネズ氏は、ジュエラーとして40代から名が世に知られるようになり、皮肉なことに長生きしたことでジュエラーとしてより大戦中活躍したナバホ語を使った対日本暗号通信部隊、通称「ナバホ部隊」
日本軍は一度も解読できなかったという。
メンバー29名、最後の一人として高名を馳せることに……

【豆知識】
●ブルージェム・ ターコイズ
その名の通り透明度、硬度が高く、簡単には変色しない“青い宝石”です。
ネバダ州バトルマウンテン近くの鉱山で、1934年から採掘が始まり現在は閉山されています。
『ブルージェム 鉱山』は地下800フィートにあり、この「ブルージェム」と「ビズビー」のみが地中深くにある鉱脈です。
ブルージェムのほとんどが1㎜の厚さしかない”ブレード”という脈や、“小さなナゲット状”で見つかる為、インレイ やニードルに使用されるのが一般的です。
マトリクスは白、茶、黒の系統があり、市場に出ない希少さで、多くのコレクターに求められているターコイズの一つです。

■サイズなど／約16号。幅約9.2㎜、厚さ約1.5㎜～12.5㎜。ターコイズ縦約6㎜、横約8㎜、高さ約5.5㎜。作者ホールマーク、STERLING 刻印アリ。
※ヴィンテージ