イングリッシュ ハーブガーデ
田舎暮らしにあこがれて
横 明美
定価: ￥ 1980

花とハーブのプロフィールを織り交ぜながら英国流コッテージライフの楽しみ方を紹介。

新しい植物で庭を刺繍のように飾りたてることが流行した豊かなヴィクトリア朝の後期、これに反旗を翻し、自然とコッテージガーデンの素晴らしさを説いたガーデン・ライターが現れる。彼の名はウィリアム・ロビンソン、英国在来の植物を使ったコッテージガーデンの飾らない素朴なスタイルこそ、英国のフラワーガーデンのあるべき姿だと彼は主張した。そしてその影響を受けた、ガートルード・ジェキルが、次の時代エドワード朝に華々しくデビューする。ラベンダーやサントリナを使った、ファッショナブルでソフィスティケイトされたコッテージガーデンスタイルを確立し、たいへんな人気を博する。ジェキルはイギリスのみならず、アメリカでもたくさんのクライアントのために、洗練された花の庭をデザインした。現在の英国風コッテージスタイルの原形がここに創造されたのだった。
〈オールドファッションハーブ
　　　　　　　　　ガーデン　より〉

17世紀のハーバリストのように、有用性よりも鑑賞することに、より興味を持ってしまった私は、帰国してからも庭園史と植物史、そして文化人類史の間を行きつ戻りつしながら、花と人の関わりを研究している。しかし、植物を育てることは、私にとって呼吸をしているようなもの、これは抜かしてはすべてが色褪せてしまう。
〈第5章　クローブピンク　より〉

英国風田舎暮らしは、東洋的な世の中に背を向けた隠者の暮らしとは少し違う。世を捨て内省的になるのではなく、喧騒から離れ、後方に陣取ることで、より世の中を鳥瞰図のように見ようとする積極的な生き方なのではないだろうか。
〈第7章　ローズマリー　より〉

ローマンカモミールは、マット状に広がる特性を活かして、芳香ある芝生を作ることができる。実は、現代一般的なイネ科の芝生よりも、タイムやカモミールで作る芝生の方がずっと歴史が古いのだ。中世の世俗の庭は、香りのよいハーブで絨毯のような芝生を作ったばかりか、芝生で椅子まで作った。このような庭にはプリムローズやスイートヴァイオレットをアットランダムに植え、彼らはフラワリーミード(花の原)と呼んでいた。
〈第9章　カモミール　より〉


美品