緑、赤、黄色、紫の色合いを持つ美しい刺繍が施され、銀糸や金糸が使用さるていることからイスラム教徒の持ち物だったことが分かる。
幾何学模様と花柄のデザインのコンビネーションと彩度の虚弱の色糸が効果的に二次元的な厚みを生む。
そして更に特筆すべきは，念入りにポーチの周辺を埋め尽くす「ビーズ」。
ただの袋ものではない。
宝物をいつも肌身離さず持ち歩く遊牧の民らしい装飾。
彼らにとって，水の色，「青」には格別の想いがあるという。
交易の貨幣という役割を担ったビーズは、旅の記憶を潜ませて彼らの元へ届けられた。
そしてそれは単なる装飾品としてではなく，多彩な目的をも託され、富や権力の象徴にもなった。

アフガニスタンの手工芸。
インド国内にて入手。
入手してから40年以上の保管期間を経ても色鮮やかで、ビーズのほつれもない状態のすこぶる良い逸品。

初めてヨーロッパを目指して飛んだ時に利用したパキスタンエアラインは、カラチで給油。
布製のパッチワークのテントで数時間のトランジット。
カラチからラホール経由、パキスタンとインドの国境越えの後シーク教の大本山があるアムリツアへの旅は、ヨーロッパからの帰路の一コマ。

出品したポーチのようにアフガニスタン製の工芸品は
ラジャスタン，グジャラートの都市でパキスタン寄りの地域に限り遭遇頻度は多いと言える。
言い換えるなら、インド北西部まで足を伸ばさないと出会い難い。
インド，パキスタン，アフガニスタンにかけて遊牧する人々の美的センスと暮らしの波動が快い刺激を放ち、旅するロマンを秘めた一粒一粒のビーズと共に砂漠を旅した後，私の手元からさらに次の旅へと続く。




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