時を超える美術 :
「グローカル・アート」の旅
新見隆 / 新見隆
定価: ￥ 960+税

#新見隆 #本 #芸術／一般

ローカル(地域、身近なもの)を大事にしながらグローバル(世界のありかた)につながる――。そんな「グローカル」な精神を宿した美術作品や芸術家を、風土に絡めて語った「芸術風土記」エッセイ。

✦和の総合芸術大学、北大路魯山人
　　　　　　　　　　　　　―京都
美食を中心に書画、篆刻(てんこく)、陶芸、インテリアにまで独自の趣味の世界を縦横に展開して、和の美の巨人として知られる魯山人は、傲岸不遜で人を人とも思わなかった逸話に事欠かない。戦後渡欧してピカソに会って大工の親父みたいだと揶揄しながら絵は色彩が汚いと謗(そし)ってもいる。他の芸術家に対しての誹謗はもう想像の内だろう。徹底して自分のための美の世界を追求したことはたしかだが、ほんとうに他人に興味がなかったか、人を真に蔑視していたかは別の問題になる。

晩年に自ら拒否したとはいえ、人間国宝に推挙されたのは、備前と織部の焼き物によってであった。魯山人の代表作というと、このあたりの大作が出てくる。……、いずれも雄渾でしかも優美だ。繊細過ぎるに傾かず、ギリギリの危ないところで支えられて躍動する美が拮抗している風情。……

……、魯山人はただ醜いものが嫌いで身の周りを自分がつくった気持ちの良いもので囲っていた。突出した自然人、大人になるのを拒否した子供のような人だったと想像できるのである。


他に、
✦放浪の味のする絵画、明媚な港町を
　描いた亀山全吉 ── 尾道

✦哀愁のわかる竹工芸、
　名匠生野祥雲斎 ── 別府、大分

✦古戦場の宇宙庭園、
　イサム・ノグチの庭 ── 高松

✦オシャレ野獣派、
　柳宗理のスプーン ── 東京

✦北のシュルレアリズム、瀧口修造の　
　デカルコマニー ── 富山

✦アートビオトープ那須「水庭」、
　石上純也 ── 栃木、那須

✦日本に憧れた巨人、フランク・
　ロイド・ライト ── シカゴ

✦海の憂鬱、ガウディ ── バルセロナ

✦装飾好きな「二進法」の家、
　エロスの裏表 ── ウィーン

……他……………詳細は写真で目次を
　　　　　ご参照ください

美品