『キリスト者の完全』は、19世紀末から20世紀初頭のイギリスの神学者、ピーター・トマス・フォーサイス（P.T. Forsyth）による著作で、キリスト教倫理と信仰生活について深い洞察を提供する神学書です。本書の主題は、「完全」という言葉が単なる道徳的な無欠性を意味するのではなく、キリストを中心に据えた神との完全な交わりを目指すことだと説明します。フォーサイスは、キリスト教信仰における恩寵（恵み）の重要性を強調し、人間が自己の力で達成する完全ではなく、神の働きによる「受け取る完全」であると主張します。



また、彼は罪の現実を見つめつつも、キリストの十字架を通じて与えられる赦しと和解に焦点を当て、信仰者が日々の生活においてどのように「神の完全」に近づくべきかを語ります。そのため、本書は神学的な議論にとどまらず、実践的な信仰生活の指針としても読まれるべき内容を含んでいます。



フォーサイスの特徴的な文体と論理的な議論はやや難解ですが、キリスト教の本質を深く探求したい人にとっては非常に価値のある一冊です。この著作は、単なる道徳の教訓を超えて、神の愛と人間の罪、そして救済の関係について考える機会を提供します。



- タイトル: キリスト者の完全

- 著者: フォーサイス

- 出版情報: 新教出版社創業40年記念復刊



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