パイロット創立七〇周年記念万年筆、Pilot 70です。

1988年限定生産、シリアル番号が入っています。



いわゆるベスト型のデザインは、パイロットの最初期の万年筆をモデルとしたとのこと、有名どころで言えば、オノトのような感じです。

キャップのリングは18金だそうです。



サイズは140ミリほどで、やや大型。クラスとしてはモンブランでは146，ペリカンだとＭ800相当ですが、それらよりはややスリムで華奢な感じがします。

クリップはパイロット伝統の剣と玉。パイロットの玉は場合によってはダサく見えるものがありますが、このデザインは険のデザインがバランスがいいためか、かなりカッコいいです（主観ですが）。



字幅はＦＭ（中細字）で、小さい手帖への書き込みから手紙の宛名書きまで、汎用性が高いと思います。

この万年筆はワンサイズで、FMだけしかなかったようです（一説にはMがあつたとも）。


特筆すべきはペン先です。パイロットの記念万年筆の中でも、非常に柔らかい書き味で知られる逸品です（ボールペンのような硬い書き味に慣れてしまっていた当時の風潮にはやや合わなかったようですが）。ペン先の刻印が過度の装飾を避けてシンプルにしてあるのもそのためのようです。

パイロットのフォルカンに近い感じがします。柔らかさだけで言えば、フォルカンの方が柔らかいですが、フォルカンがやや人工的な柔らかさなのに対して、こちらのパイロット70はより自然な柔らかさに感じます。また、フォルカンのようにインクが筆記に追いつかない、といったこともありません。



もう一つの売りは、プッシュ式の大容量コンバータがついていることです。これはパイロットのカスタム845クラスの仕様です（ただし、カスタム845は胴軸がエボナイトに漆塗りなので、更に格上ですが）。



残念ながらペン本体のみですので、お安く致します。