紀元後900年～1100年頃のジャワ島出土と説明されました、ジャワ玉の多くが、600年～900年頃までに制作されたと言われ、900年頃の制作と考えられそうです。

本品は、クリア系のブルー・ガラスに、細い長方形のやや半透明な白ガラス片が混在させた、モザイク小片を融着し、芯軸に巻いたモザイク芯玉中大玉です。胎には、モザイク小片の隙間や小片に見られる小さな孔によるザラツキ感がありますがが、光のなかでは、青と白の小さな紋様が美しく浮かび上がります (2,10枚め） 。これら孔は、黄茶の物質が埋まり、なかには金色状に輝く黄色もあり、青・白に赤茶のアクセントとなっています。

クリアな青ガラスに白い片が埋められたモザイク小片には、大きめの青のアイ（瞳）と広がる放射紋の一部や、青の小片に白の細線3本、青の胎に1㍉ほどの白ガラスが突き刺すように埋まった部分（黄茶の孔近く）があり、キラキラと光る陶器のような白い小片も見られます（4－7枚め）。

　モザイク芯玉ですので、孔の内側にもクリアな青と白のモザイク片が見られ、とくに光を当てますと、クリナで清々しい青が浮かび、青・白の色合いが美しいビーズです。ジャワ貼付け玉に特有の、融解温度の低く安価なガラスで芯軸の周りに球体を成形し、薄く切断したモザイク片を貼り付けた芯の環は、本品には見られません。

　本品は、西アジアからの渡りともされ、渡り玉は10世紀以降から流入が増え始め、15、16世紀から18世紀くらいに多くなるとされ、入手時の説明とある程度合致します。

　渡り玉と想定すると、どこがモザイク片ビーズの制作地かが知りたくなります。10C頃に西アジアの主要なビーズ制作地域としては、イランの、例えば、ニシャプールが想定されますが、ササン・ビーズに特徴的なアイと放射紋のビーズを得意とし、モザイク片ビーズを制作したかは不明です。また、ファーティマ朝初期まで（8-10Ｃ）に繁栄したフスタートが想定され、ここではモザイク芯玉が制作され、マレーシアに流入しています。あるいは、モザイク破片を西アジアから輸入し、ジャワでの制作も想定されます。

　本品は、一般的なジャワ玉の色合いやモチーフと比較し、また、3つの可能性を考える点で興味深く、清楚でスッキリした色合いで楽しんで頂けるビーズです。

サイズ　高さ約15㍉、幅　約17㍉　孔径　約31㍉