現代の着物製作にかける手間暇や技術は、昭和45年頃とはあまりに違います。
最近の人々の着物への関心は一部の人に限られてきましたし、何回も着ない着物にそこまでのお金をかけなくなったこともあるでしょう。
しかし、その昭和の時代、日本で最後の最高に雅な着物文化の煌めきがあったのです。
作家名は野口眞造。
江戸時代に負けない染と刺繍、図案の大彦という染刺繍のブランドの二代目の天才でした。
その頃、日本橋三越特選呉服売り場では、その子、彦太郎とともに大人気でした。
展示会では、200万円、いやそれ以上の品がどんどん売れていたのです。

全て一点物で、まるで絵画のようです。
この作品の暗い森を抜けて、眩しく広がる西洋のお城や湖がひろがる図案は、まるでモネの絵のようです。
水に映る景色までもが描かれています。刺繍も効果的に使われています。
彼の作品の中でも最高傑作の部類だと思います。
額縁に入れていつまでも鑑賞していたくなるような品です。

写真12〜13枚目のように着物の裾の裏側にまで染が及び図柄が続いています。作家の力の入れようが伝わってきます。

日本の染、刺繍、図案の粋を集めたこの品物は、この文化を本当に分かってくださる方にお譲りしたいです。
丸洗い済みです。

写真14〜15枚目をご覧ください。黒留袖に合わせて帯（帯のみの写真は17〜20枚目）をお付けいたします。この帯についてご説明します。
手数をかけて丹念に色糸が織り込まれたものが錦です。古今東西を問わず、金、銀は上位のもののみに使われてきました。松竹梅に扇面の袋帯で吉祥柄の大変に縁起の良い帯です。
（多少のキズはありますが、ほとんど目立つことなく、この黒留袖にまさにピッタリ合う帯です。）

この着物を美術作品として扱い、ショーウィドウの中に飾られると、誰もがこの文化に触れることができますね。

（注）　身に付けるものという性質上、返品はご容赦ください。

【サイズ】
身丈　約155〜156センチ（肩から）
裄丈　約66.0センチ
袖丈　約48.5センチ
袖幅　約32.0センチ
前幅　約23.0センチ
後幅　約29.0センチ