■一度読みましたがカバーは外して大切に保管し、自前のカバーをかけ手垢や折り目がつかないよう注意をはらいました。新品に近いと思います。未使用の書店のカバー付です。



■新潮社　635頁　2530円(税込)



■サイン本で新品同様です。



■作者の石田三成を主人公とした作品は『八本目の槍』に続く２作目である。福島正則や加藤清正等の小姓時代の同僚達との話で抜群に面白かった。



多くの人の歴史観となっているのは所謂“司馬史観”であると思う。しかしその全てが正しいわけではなく、史実ではなく想像するしかない部分は新しい大胆な解釈をしても面白いと思う。でないと信長～秀吉～家康周辺はもう語りつくされた感がある。この作品は新しい解釈があちこちにちりばめられており斬新だった。



さて本作であるが秀吉の栄華な時代の“五大老五奉行”と言われた時の五奉行を一人づつ中心に描いた五編からなっている。



秀吉の描かれた作品に必ずこの五奉行は出てくるのだが、案外皆内容までは詳しは知らないだろうと思うので歴史小説好きにはかなり勉強になると思う。



簡単にそれぞれの役割を記しておく。

増田長盛・・・担当は土木

浅野長政・・・担当は司法

長束正家・・・担当は財政

前田玄以・・・担当は宗教、朝廷

石田三成・・・担当は行政



武辺一辺倒の殿様と違い、現在でいう官僚のトップで事務次官のようなものである。この連中の能力の高さは尋常ではなく各章最初にそんなエピソードが提示されて物語が始まる。

内容については語らないがどれも唸るしかない程の絶品の作品集である。



一つだけ余談だが、三成の盟友大谷吉継が各所で登場するのだがこれがもう泣けて泣けて・・・。



しかし作者の今村翔吾だが全くもって恐るべき作家である。

新しい時代の歴史時代小説家と言えるだろう。