ベートーヴェン

①ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調 op.97『大公』

②ピアノ三重奏曲第5番ニ長調 op.70-1『幽霊』



ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)

イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)

リン・ハレル(チェロ)

録音:1982年、1984年



ベートーヴェンのピアノ三重奏曲は7曲ありますが、まず聴いておきたいのはこの2曲です。もちろん①にはカザルス・トリオの不滅の名盤がありますが、1928年録音のモノラルなので、録音の良い名演をもう1枚は手元に置いておきたいところです。デジタル録音の本盤はもちろん録音優秀、3人が出しゃばることなく緊密はアンサンブルで夢のような三重奏を展開しています。



超一流アーティストによる『大公』です。超弩級トリオと呼ばれるのに相応しいレベルの演奏で、ベートーヴェンの三重奏曲の中でも屈指の１枚といえる出来映えです。パールマン、アシュケナージ、ハレル、いずれもが極端に前に出ることのないアンサンブルに徹し、結果として最高の『大公』トリオを実現しています。



この3人による演奏には、ほれこんでしまうような巧さがあります。単にテクニック抜群の3人が集まっているというだけでなく、見事な意思統一があります。「大公」は聴く者に安心感を与えるような、また細部まで神経のゆき届いた演奏です。第3楽章など心に訴えかけるおだやかな情感をたたえていてさすがです。「幽霊」もよくまとまった好演です。



やっぱりアシュケナージのピアノが大変美しく、耳にごちそうです。ハレルのチェロも悪くありません。美しいだけでなくベートーヴェンらしさというものを常に心がけているように感じられます。第2楽章も見事なチームワークで聴かせ、かっちりとまとめており、ダイナミックで鮮度の高い演奏でもあります。第3楽章は冗長に陥らないようコーダに向かて息の長い盛り上がりを聴かせるよう工夫しているのがわかります。第4楽章も元気のよい溌剌とした演奏でオーソドックスな仕上がりに好感が持てます。



国内盤、帯無し　5

盤面外周近くにわずかなすれありますが再生問題無し

プラケースすれあり、ホッチキス錆あり



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