1987年 0.3㎝程度

はじめに

第79回展に、明治の引札をとりあげました。
引札とは江戸時代にはじまる、 商家などのチラシ広告にあたるものをいいます。
浮世絵版画 錦絵はさておき、 引札となると実 物をご覧の諸氏は余り多くないのではないでしょうか。
昨今、 花形職業として脚光浴びるコピーライタ・イラストレーターなどの広告業に比するのは いささか短絡の誹を受けましょうが、明治のその 業績はいかが映りますでしょう。一般庶民にとっ ては高嶺の花の名画よりも、大量生産された商業 実用版画であるこの引札こそ、日常生活に深くとけこみ、 日々の暮らしにリズムを与える一服の清涼剤となり得たことは視覚的刺激の少ない時代で あれば、想像に難くありません。
今回は当館収蔵の700点余りのコレクションの 中から、150点を選び関連業種別に分け比較のため 若干の江戸期のものと併せて紹介いたします。 近代日本美術史の間隙に埋もれた浮世絵師の棹 尾を飾り、はたまた大正時代に花開く大量商業印 刷の幕開きとなる技の足跡と、 文明開化風俗の一 端をこの機会にご観賞下されば幸甚に存じます。

表紙小傷、小汚れ。もちろん読む分には問題ありません。

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。