2011年　342P　序文・巻末英文

ごあいさつ

歌川国芳(1797-1861)は、画想の豊かさや斬新なデザインカ、奇想天外なアイデア、確実なデッサン力などで、浮世絵の枠にとどまらない広範な魅力を持つ作品を多数生み出した絵師です。その作品は、 内外の研究者や浮世絵ファンのみならず、現代のデザイン関係者を若い世代の人々にも大いに注目されています。国際的にも高い評価を 得ており、近年ロンドン、ニュー ヨークでも展覧会が開催され、大きな反響を呼びました。

国芳の魅力は、なんと言っても、限りなく広がる自由なイマジネーショ ンの世界にあります。物語の夢と冒険とロマンを具現化する手腕に コクーン他に並ぶ者のない卓越した才能を示し、まさに、江戸のグラフィックデザイナーとも呼ぶことができるでしょう。題材・ジャンルも、武者絵 役者絵、美人画、風景画といった伝統的なものだけでなく、 戯画、時事報道画、子ども絵と多岐にわたり、シリーズ物も多いことから、これまで紹介される機会がなかった魅力的な作品も数多く、今でも新たに傑作が発見されています。

本展は、国芳没後150年を記念し、代表作はもとより、初公開の傑作や新発見の優品を含む約420点により、国芳の画業の全貌を新たに明らかにしようとするものです。過去最大規模の国芳展として、 国芳の魅力を存分に堪能できるまたとない機会となることでしょう。

最後になりましたが、本展開催にあたり、貴重なご所蔵品をご出品くださった所蔵家の皆様、ご協賛いただいたSMBC日興証券、NEC、トヨタ自動車、日本興亜損害保険の各社、また、ご支援を賜 りました関係各位に厚くお礼申し上げます。

2011年
主催者