1955年　158ｐ

ごあいさつ
このたび幕末、維新の動乱の時代を体験し、明治に活躍した最後の浮世絵師「月岡芳年展」を開催いたし ます。
月岡芳年(一八三九~一八九二)は天保十年生まれ、十二歳で歌川国芳門下に入り、十五歳で一魁斎と号 してデビュー、二十一歳で早くも本格的な浮世絵師として独立しました。 北斎を畏敬し、歴史画や洋画など さまざまな技術を吸収し、多彩な分野で高水準の作品を制作、幕末に花開いた”最後の天才絵師〟です。 芳年は、「危うい浮世絵師」あるいは「血まみれ芳年」と称されるように、その画風は特異であり異色であ り、時に怪奇の色合を帯びますが、また特有の様式美をそなえた画面は妖しい美しさをもっています。とく に錦絵の木版画技法は、その究極の継承者として最高の完成度を示しています。
また芳年門下の水野年方からは鏑木清方が、清方門下からは伊東深水が生まれるなど芳年美人画の系譜は 現代に引き継がれています。
本展は、初期から晩年まで、華麗と恐怖の場面を色あざやかにうたいあげる芳年の世界を武者絵、歌舞伎 絵、怪奇絵、美人画、新聞錦絵などにわたって初公開の作品を含む二百数十点の浮世絵と資料で紹介します。 本展開催にあたり絶大なご協力をいただきました西井正氣氏はじめ関係各位に厚くお礼を申し上げます。

表紙小傷、小汚れ。もちろん読む分には問題ありません。

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。