1979年　厚さ1㎝程度

江戸時代の絵画の世界では、狩野派や土佐派, 住吉派とい った名門が幕府御用絵師として代々その主要な地位を占めて いましたが,一方,在野画壇では「南画家」あるいは「文人 「画家」の語で総称される一群の作家達の活躍が見られまし た。「南画」「文人画」の呼称についてはいろいろと議論があ りますが、どちらも「江戸時代後半に南宗画を中心とした中 国の元・明時代の絵画に触発されておこった一派」(吉沢忠 氏)と理解されるものです。 本展では 「南画」 という言葉を 使いますが、この「南画」の世界で関東画壇の大御所として 全国にその名を轟かせた作家に写山楼谷文晁 (1763~1840) がいます。 文晁は、 狩野派・南蘋派をはじめ宋元明清の諸家 や洋画の法をも学ぶなど各手法の折衷に努め, 一家をなしま した。 その一派の隆盛ぶりには目をみはるものがあり、 画房 写山楼には門人市をなし, 諸侯や公卿から地方の農民までそ の来訪が絶えなかったといいます。 その頃, 首都の後背地に あります下野では、産業や交通の発達とともに, 主要な河岸 や宿駅に新鮮な文化の便りが満ちあふれ、多くの在地文人が 育っていました。 彼等は積極的に中央の文人先覚者たちとの 結びつきを求め、高度なサロンを築き上げていましたが、そ んな彼等が,江戸前文化の象徴として、最も崇拝する中央有 名人の一人が谷文晁でした。 文晁は本県にも幾度となく足を 運び、県下に門人も多いといいます。本展では、文晁名品の 数々を展示して文晁の偉業を顕彰するとともに,本県文化と の関わり合いをも探っていきたいと思います。
栃木県立美術館

表紙小傷、小汚れ。ページ小黄ばみ。背表紙やや色あせ。もちろん読む分には問題ありません。

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