1　2007年8月15日　11刷　発行
2　2007年8月20日　8刷　　発行

『カラマーゾフの兄弟』第1・2巻（光文社古典新訳文庫）

ドストエフスキーの最高傑作とも称される『カラマーゾフの兄弟』は、19世紀ロシア文学を代表する長編小説です。光文社古典新訳文庫版は、亀山郁夫による新訳で、現代日本語に即した読みやすい文体が特徴です。

本作は、ロシアの地方都市を舞台に、放蕩な父フョードル・カラマーゾフと、その三人の息子たち——理性を重んじる長男ドミートリー、知性と懐疑に満ちた次男イワン、信仰と純粋さを象徴する三男アリョーシャ——の運命を描きます。やがて父の殺害事件が発生し、物語はミステリー、哲学、宗教、倫理といった多層的なテーマを内包しながら展開していきます。

第1巻では、カラマーゾフ家の複雑な人間関係や登場人物の心理描写を中心に、物語の導入部分が描かれます。第2巻では、家族の対立が深まり、事件の伏線が徐々に張られていきます。

重厚なテーマを持ちながらも、亀山訳は生き生きとしたリズムで物語を伝え、初めてドストエフスキーを読む人でも楽しめる仕上がりになっています。

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