2001年250ページ

イタリアの版画家エドアルド・キヨッソーネ（1833～1898）は、日本政府に招かれ明治8年より大蔵省印刷局に着任、偽造防止の紙幣や公債証書の発行を指導し、日本の印刷技術の近代化に貢献しました。一方で、日本美術に目覚めた彼が在日中に蒐集した文物は約15000点にも及び、その数と質は、彼の社会的地位と、日本文化に対する造詣の深さ、鑑識眼の高さを物語ります

ごあいさつ
エドアルド・キヨッソーネ (1833~89)は、明治政府が産業、軍事、教育、文化など各分 野の近代化のために外国から招いた「お雇い外国人」の一人として、紙幣、切手、証券など の印刷技術を指導するために明治8年(1875) に来日しました。 その後17年間にわたり世界最 高水準の技術をわが国に伝え、後進を熱心に指導し、日本の印刷技術の父」と呼ばれる多大 な業績を残しました。
自らも卓越した銅版画家であったキヨッソーネは、日本美術にも大変興味を持ち、私財を 投じて美術品を蒐集しました。 それらの作品は散逸することなく、 現在彼の生まれ故郷のイ タリア、ジェノバ市立キヨッソーネ東洋美術館に保存されています。 美に対する確かな鑑識 眼と日本美術への情熱に基づき蒐集した作品は、 浮世絵や仏像をはじめ、 考古遺物 甲冑・ 漆器・陶磁器など広範囲にわたり、 その数は15,000点以上になります。 なかでも浮世絵のコレ クションは4,000点におよび、 質量ともに世界有数のコレクションとして知られています。
本展では、今年から来年にかけて繰り広げられる「日本におけるイタリア2001年」を記念 して、浮世絵コレクションから厳選した肉筆約40点と版画110点を展示するとともに、日本と イタリアの産業、文化の架け橋として偉大な足跡を残したキヨッソーネの業績や人物も紹介 します。
展覧会開催にあたり、貴重な作品をご出品いただきましたジェノバ市、 ジェノバ市立キョ ッソーネ東洋美術館をはじめ、 ご協力いただきました関係各位に厚くお礼申し上げます。

表紙小傷。ページ小黄ばみ。もちろん読む分には問題ありません。

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。