ブルックナー

交響曲 第3番 ニ短調「ワーグナー」 (ノヴァーク版第3稿)



指揮：朝比奈隆

大阪フィルハーモニー交響楽団

録音：1993年10月3-6日大阪フィルハーモニーホール



音楽評論家：宇野功芳氏

「朝比奈は例の遅いテンポと分厚いひびきで、第3番をあたかも後期の作品のように演奏したのである。どこもかしこも充実感満点、ずっしりとした豊かさと手応えに満ちている。初期の交響曲の新鮮さに後期の深みが加わったのだから、聴いていて胸がわくわくしっぱなしなのも当然といえよう。しかも、迫力はあっても力みはなく、オーケストラがいつものゆとりを持ってひびき、先へ進まない指揮ぶりもこの作曲家にぴったりだ。落ち着いて音楽に身を浸すことができるからである。」



朝比奈3度目の録音。テンポは遅くなり、1音1音の密度が一段と濃くなっている。真摯な響きの重みがずっしりと聴く者の胸を打つ感動の名演だ。（CDジャーナルより）



演奏の密度、深さ、技量、全てにおいて素晴らしく、この朝比奈盤を超える演奏など、世界を探してもそうは無いのである。これがブルックナー指揮者による第3番なんだと実感した。ブルックナーの満たされぬ思い、尽きせぬ音への愛、アダージョの神秘に満ちた静謐の美しさ、スケルツォの躍動、フィナーレの堂々たる歩み・・・。一切の音楽に、意味が指揮者と演奏者によって共感とともに込められ、歌い上げられている。切ないほどの、抱きしめ!るかのようなブルックナーへの愛で満ちている演奏である。



ブル３番で手が伸びるのはこの盤。あまたある朝比奈ブルックナー盤でもファーストチョイス。聴いて安らぐというか、疲れないというかどっぷりと音楽に浸れる心地よさ。心臓の鼓動と音楽がシンクロする感じ。仕事疲れ後や休日に聴くのが何よりの御馳走。



オケのやる気が本当によく伝わってくる。団員の一人一人が一生懸命やっているのが目に見えるようだ。実際、録音のときも、「もう１度やりましょう」と、オケのほうからリクエストがでるほど、みんなやる気満々だったらしい。音楽は、心の芸術であるから、こういう大阪フィルのやる気が、聴衆の感動を呼ぶのだろう。



国内盤、帯無し　17

盤面微すれありますが再生問題無し



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