「いのちの循環「森里海」の現場から」
田中 克 / 認定NPO法人シニア自然大学校地球環境自然学講座
定価: ￥ 2500

#地球環境 #免疫機能 #田中_克 #NPO #藻場再生 #自然／生物学 #SDGs #持続可能性

一読しただけですので、きれいです。

　「環境の世紀」と呼ばれた２１世紀早くも２０年以上が過ぎ去りました。大きな転換のきっかけと期待された新しい世紀への移り変わりも事態の改善にはつながらず、地球温暖化に象徴的に見られるように、地球環境は一層深刻さを増し、このままでは近未来世代の幸せは望むべくもありません。２０世紀の主役として生きてきた私たちは、この事態にどのように責任を取り、孫の笑顔を思い浮かべればよいのでしょうか。
　この夏も、猛暑の後の冷夏と豪雨、さらに人災といえる新型コロナウイルスの急激な感染拡大と、今を生きる私たちの暮らしはもとより、この先も生き続ける孫世代の未来への不安は募るばかりです。何がこのような事態を招いたのでしょうか。２０世紀後半を経済成長の時代として“走り抜けてきた”私たちの責任は免れないと思われます。
　地球は、多くの生き物が環境に適応し、相互に折り合いをつけながら生きていく一つの生命体ともいえる存在です。これまで調和を保ってきた地球に今大きな異変が生じています。あまりにも大きな影響力を持った唯一種の生物種である私たちヒトが地球の能力を大きく損ない、もはや自己修復できる限界を超えようとしています。それが、今私たちが直面している地球環境問題だといえます。このままでは孫の世代の生を喜ぶ権利さえも、今を生きる世代の身勝手な振る舞いで奪い去ろうとしているのです。
　地球と地域の“免疫機能”を担っているのは森と海とのあいだを循環する、すべてのいのちに不可欠な水です。私たちはあまりにも水に恵まれた環境にあるだけに、その存在のありがたさに気づかず、悠久の時を経て巡り続けてきた循環を断ち切り、免疫機構を壊しているのです。「森里海」は、全てのいのちを育む、水の循環とその源である海に思いをはせ、「里」の住人としての私たちの振る舞いを見直し、続く世代からの借りものである自然を整え直して送り届けようとする意思表示なのです。それをあらゆる方向から学んで来たのが本講座のテーマです。