ブランコ乗りのサン＝テグジュペリ

紅玉 いづき

角川書店　2013



不完全であれ。未熟であれ。不自由であれ――スポットライトと拍手が、彼女達のすべて。

２０世紀末に突如都市部を襲った天災から数十年後、震災復興のため首都湾岸地域に誘致された大規模なカジノ特区に、客寄せで作られたサーカス団。花形である演目を任されるのは、曲芸学校をトップで卒業したエリートのみ。あまたの少女達の憧れと挫折の果てに、選ばれた人間だけで舞台へと躍り出る、少女サーカス。天才ブランコ乗りである双子の姉・涙海の身代わりに舞台に立つ少女、愛涙。周囲からの嫉妬と羨望、そして重圧の渦に囚われる彼女を、一人の男が変える。「わたし達は、花の命。今だけを、美しくあればいい」。



目次

ブランコ乗りのサン＝テグジュペリⅠ

ブランコ乗りのサン＝テグジュペリⅡ

猛獣使いのカフカ

歌姫アンデルセン

ブランコ乗りのサン＝テグジュペリIII



現実的なのに幻想的な、キラキラした少女サーカスの世界で、舞台に立つことに命を懸ける女の子たちの話。彼女たちそれぞれの覚悟がとても格好よくて、暗い部分も美しく見える話だなあと思った。 文体も幻想的で雰囲気がすごくいい。主役が変わるごとに自分の演目の幕が上がるところから始まっていて、その主役から見た舞台と客席の緊張感や期待感だったりの描写がそれぞれ印象的で好き。何度も読み返したくなる。



今までに感じたことのない不思議な感覚がした。雰囲気がすごく幻想的で、現実的な話でファンタジー一切ないのにファンタジーっぼい。とても独特な作家さんだと思った。姉が怪我をして舞台に立てなくなった代わりに、双子の妹は舞台に立つ。お互い違う道を進んできて、お互いに対して思うことがある。嫉妬や羨ましさもあって、わかるなぁと思った。嫉妬から出るイジメだとか派閥争いとか、怖い世界で私は嫌だけど、現実の劇団もみんなそうなんだろうなと思う。最後は自分の生きるべき道を選択できて良かった。（レビューより）



未読で大変きれいですが家庭保存であったので「未使用に近い」で出品いたします。



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