モーツァルト

①『音楽の冗談』ヘ長調K.522

②コントルダンスハ長調K.587『英雄コーブルクの勝利』

③コントルダンスニ長調K.534『雷雨』

④コントルダンスハ長調K.535『戦闘』

⑤6つのドイツ舞曲K.567

⑥ガリマティアス・ムジクム（クオドリベッド）K.32

⑦行進曲第1番ニ長調K.335（320a)

⑧コントルダンスト長調K.610『意地の悪い娘たち』

⑨ドイツ舞曲ハ長調K.611『ライエルひき』

⑩3つのドイツ舞曲K.605『そり遊び』



オルフェウス室内管弦楽団

録音：1989年12月



『音楽の冗談』は、モーツァルトの皮肉屋の一面を明確に表した音楽。わざと3回ほど音程を外したホルンが見事に不思議な音楽を奏でています。当時のホルンは音程の取りにくい楽器だと思われますが、それをわざと音楽にしたあたりがモーツァルトの真骨頂です。当時の演奏レベルと作曲家の凡庸さが伝わります。今では顧みられない作曲家の数多の作品のエッセンスをかき集めたような箇所もあり、パロディの面白さが曲目『音楽の冗談』になったわけです。第3楽章のヴァイオリンのカデンツァの旋律が、外れて上昇するさまなど、こんな状況だったのだということを髣髴とするようでした。第3楽章のラストの合奏のひどいこと、意図的に書かれたとしてもそれを忠実に演奏することは、演奏家のプライドを許さない範囲でしたが。コントルダンス、舞曲が多数このCDに含まれています。音楽が舞踏のバックミュージックであり、喧騒の中でそれに合わせて踊ったようです。コントルダンスの『英雄コーブルクの勝利』、『雷雨』、『戦闘』のように、それらの多くは1曲1曲が1分程度と短いわけですが、実に個性があり描写的でした。それでいて音楽はモーツァルトの和声ですし優雅さは格別です。指揮者をおかないオルフェウス室内管弦楽団ですが、そのアンサンブルの見事さは、全曲の至る部分で伝わってきます。合奏の醍醐味と言いますか、作曲家の意図を見事に音楽として表出しているわけで、それはこの選曲でも生きていました。精緻なアンサンブルと珍しい選曲が楽しい名盤です。



国内盤、帯無し 、盤面傷無し 　10



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