ブラームス　2CD

disc 1

①交響曲第1番ハ短調 op.68

②交響曲第3番ヘ長調 op.90

disc 2

③交響曲第2番ニ長調 op.73

④交響曲第4番ホ短調 op.98



指揮：ヘルベルト・フォン・カラヤン

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音：1977-78年



カラヤンの1970年代のいわゆる絶頂期の録音です。前回の1960年代の録音は非常に重厚でドイツ的な演奏でした。このアルバムでは録音会場が前回のベルリン・イエス・キリスト教会から、ベルリン・フィルハーモニーにうつり、音に奥行きができています。演奏の面でも、1980年代後半の有名なカラヤンの最晩年の録音のような、粘着質のある印象は受けません。特に交響曲第２番の、まるで谷底から雲が湧き上がってくるような幻想的な演奏はカラヤンとベルリン・フィルだからこそできると思います。



やはり70年代のカラヤンはオーケストラと共に、勢いがあります。１番は全体にわたり重厚且勢いがあり一楽章などのおおらかな感じはほかの指揮者ではちょっとありえない演奏です。カラヤンの一番に対する思いがひしひしと伝わってきて、BPOとの信頼関係の厚さから来るファクターもこの演奏の完成度に寄与しています。2番は全体を通して、厳格で、四楽章のフィナーレの間の取り方はさすがカラヤンと叫びたくなります。３番も同じような事が言え、名演ですが、４番はどことなく、硬く聴こえます。カラヤン自身も４番は得意ではないとコメントしたことがあるので、少し、判るような気がします。録音は、アナログをある意味極めている重厚な音に録れています。



カラヤンとベルリン・フィルがどれだけ素晴らしい芸を披露して、ひとつの時代を形成し、70年代を彼らの黄金時代と呼ばせたかは、このブラームスの交響曲全集を聴けば分かります。60年代に響いた戦後新しいベルリン・フィルとしてのブラームスが70年代に完成、80年代に失われつつあったカラヤン芸術が70年代に健在という見事なバランスで、すべての交響曲で光ります。好みは分かれるでしょうが、カラヤン自身が苦手としている第4番も70年代では均等性の取れた完成度となっており、十分自己主張は出来ていますが素晴らしい演奏です。



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